人口減少、少子高齢化、産業の衰退――
多くの地方が課題を抱える中、**「農業を核とした地方創生」**に注目が集まっています。
地域ならではの資源を活かし、農業を軸に経済・観光・教育・雇用の循環を生み出す取り組みが、全国各地で実を結び始めています。
今回は、「農業 × 地域資源 × 地方創生」の成功事例を中心に、実践的なヒントを紹介します。
1. なぜ農業が地方創生のカギとなるのか?
✅ 地域に根ざした産業であること
→ 土地・気候・文化と密接につながりがあり、地域特性を活かしやすい。
✅ 雇用・移住促進につながること
→ 新規就農や農業体験は、移住や関係人口の受け皿にもなる。
✅ “食”や“自然”という普遍的価値を提供できる
→ 外部からの観光や教育・福祉といった多様な分野と連携できる。
2. 地域資源を活かした農業×地方創生の成功事例
① 長野県・小布施町|栗と観光のまちづくり
地域資源:特産の栗、歴史ある町並み、観光資源
- 地元の栗を活かしたスイーツや加工品をブランド化
- 観光農園・栗拾い体験・小さな美術館や飲食店の連携
- 「農」と「まち」の融合で観光客が年間100万人以上に
▶ 成功のポイント:農業と観光の一体運営、町全体で魅せる演出
② 高知県・四万十町|地域住民と進める有機野菜ブランド
地域資源:清流・自然豊かな環境、ブランド米・野菜
- 農薬に頼らない栽培法を地域全体で推進
- 農業体験民泊や修学旅行生の受け入れも積極的に実施
- 「顔が見える農業」で都市部の飲食店や個人と直接取引を拡大
▶ 成功のポイント:安全・安心という価値で都市とのつながりを強化
③ 北海道・十勝エリア|農業とスタートアップの融合
地域資源:広大な農地、先進的農業経営、ICT導入環境
- スマート農業(ドローン・自動運転トラクター・気象データ分析)の先進地
- 若手起業家や技術者を受け入れる「農業×テック」の実証実験フィールドに
- 大学・企業・行政が連携したイノベーション推進拠点
▶ 成功のポイント:次世代農業×外部人材受け入れによる地域活性化
④ 熊本県・阿蘇地域|景観保全と畜産の共生モデル
地域資源:草原景観、放牧文化、ブランド牛
- 放牧による景観維持と観光誘客を両立(=環境型農業)
- ブランド牛「阿蘇あか牛」で直販・飲食・ふるさと納税が好調
- 世界農業遺産にも認定され、国内外から注目を集める
▶ 成功のポイント:農業の営み自体が“観光資源”に転換
3. 地方創生を進めるうえでのポイント
① 「地域にしかない価値」の発掘と再定義
→ その土地でしかできない作物、風景、文化、人。“当たり前”を価値に変える視点が重要。
② 外部との接点づくり(交流人口・関係人口)
→ 観光、農業体験、地域ブランド商品などで**“つながるきっかけ”**を増やす。
③ 持続可能なビジネスモデルの構築
→ 単発のイベントではなく、農業を核とした継続性のある仕組みをつくる。
④ 住民主体のプロジェクト設計
→ 「やらされる」のではなく、「自分たちでつくる」ことで地元の誇りと継続力を生む。
まとめ|農業は地域の未来を育てる産業
農業は、ただの「生産活動」ではなく、
**人・土地・文化・経済をつなぐ“地域の中核”**になりうる存在です。
地域資源を活かし、農業を通じて人が集まり、交流が生まれ、経済が循環する。
そんな地方創生の成功モデルが、今まさに各地で芽吹いています。
「うちの地域には何もない」ではなく、
**「あるものをどう活かすか」**を考えることから、農業による地方創生は始まります。
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